AI導入

AIが「使えない」のはモデルのせいじゃない

アツメル株式会社|6分で読めます
AIが使えない理由はデータ構造にある

原因として真っ先に挙げられるのは、「モデルの精度が足りない」「プロンプトが難しい」といった話だ。だが実際に現場を見ると、本当の詰まりポイントは別のところにある場合が多い。

AIがアクセスできるデータが、そもそも整っていない。


Googleが気づいた「AIエージェントの真の壁」

2026年4月、ラスベガスで開催されたGoogle Cloud Next 2026で、Googleは「Agentic Data Cloud」を発表した。

一言でいえば、AWS・Azure・SaaSなどあらゆる社内外のデータをAIネイティブなデータレイクハウスに統合するサービスだ。なぜGoogleがこれを作ったかというと、AIエージェントを企業が構築するとき、ほぼ確実に「業務データへのアクセス問題」に当たるからだ。

Googleはこう説明している。

> 「ユニバーサルコンテキストエンジンにより、AIエージェントに信頼性の高いビジネスコンテキストを提供。AIエージェントの精度向上を促進する」

「ビジネスコンテキスト」という言葉が意味深だ。AIエージェントが正確に動くには、モデルの性能以上に、正確なコンテキスト——つまり「この会社のデータがどこに何の形であるか」——が必要だということを、Googleは正直に認めている。


現場でよく起きていること

AIエージェントを導入しようとすると、大抵こういう順番で壁にぶつかる。

第一の壁:データがバラバラすぎる

業務データがSlack・メール・スプレッドシート・基幹システムにバラバラに散在している。AIに何かを聞いても、参照できる情報源が限られているため、答えが薄い。

第二の壁:データが「AI読めない形式」になっている

PDFや手書きスキャン、Excelの複雑な結合セルなど、人間が見ればわかるが、AIが直接処理できない形式のデータが大量にある。

第三の壁:データに文脈がない

数字だけのデータがあっても、「この数字が何を意味するか」の背景情報がないと、AIは正しい解釈ができない。Googleが「セマンティック基盤」「意味付け」という言葉を使っているのも、この問題を指している。


ソフトウェア開発も同じ構造をしている

エンタープライズのデータ問題は、実はソフトウェア開発の上流工程にそのまま当てはまる。

要件定義や仕様書が、こういった状態になっていないだろうか。

  • Wordファイル・Excelシートに散在している
  • 関係者だけがわかる暗黙の前提が大量にある
  • 最新版がどれかわからない。「2024年改訂版(最終)(確定)(v3)」のような状態
  • 実装と仕様書が乖離しているが、誰も更新していない

この状態で「AIに仕様書を読ませて実装を加速しよう」とすると、ほぼ確実にハマる。AIは仕様書を読むのではなく、仕様書が持つべき構造を読む。文脈のないテキストの塊からは、良いコードは生まれない。


「AIに渡せる形」が、実はいちばんの投資先

Google Cloud NextのAgentic Data Cloudの発表を聞いて感じたのは、「AIの活用は上流の整理から始まる」という原則が、エンタープライズ全体で共有されはじめているということだ。

開発の現場でいえば、次のような順序が正しい。

  1. 要件定義・仕様書を構造化する — 曖昧な自然言語ではなく、AIが解釈できる形式に整える
  2. 文脈を付与する — 「なぜそうなっているか」「何が前提か」を明示する
  3. 変更履歴を管理する — AIは最新の文脈を参照する必要がある
  4. その上でAIに渡す — ここで初めて、AIが「使える」状態になる

この順序を逆にすることはできない。AIモデルをどれだけ高性能なものに替えても、渡すデータが整っていなければ結果は変わらない。

正直なところ、「AIに仕様書を書かせよう」「AIに要件定義をやらせよう」という発想自体は間違っていないが、前提として「AIが読める仕様書」を用意する側のスキルが先に求められる。


GW明けに一度、仕様書の棚卸しをしてみる

Golden Weekが終わると、多くのチームが次のPJTに向けてキックオフを迎える時期だ。そのタイミングで一度、こんな問いを立ててみてほしい。

  • 今あるドキュメントを、AIはどう読むか?
  • 仕様書の中に「AI読めない暗黙知」はどれくらいあるか?
  • 新しいメンバーが1日で理解できる仕様書になっているか?(AIも新人と同じ)

AIにとって「読める仕様書」は、チームにとっても「読める仕様書」だ。整備すれば、AI活用の土台が整うだけでなく、チームの引き継ぎコストも下がる。一石二鳥、という言葉はこういう時のためにある。


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